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銅について

基礎知識

銅（どう）とは、赤褐色の光沢を放つ金属の一種です。
金属では銀の次に導電性が高く高い電気伝導度と熱伝導度と相まって、電気・電子部品として、ばね・コネクタや半導体リードフレーム材料として多く使用されています。
高い電気伝導度と熱伝導性は最大の長所で、その上美麗な色調を有し、耐食性にも優れています。
はんだ付け性などの接合性にも優れ、高い信頼性が保証できます。

銅の特徴

電気伝導性が大きい
熱伝導性が良い
耐食性に優れ、美麗な色調を示す
切断加工性が良い合金がある
メッキ及びはんだ付けが容易である
磁性がない

銅の種類（1100・1020・1220)

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品名	特徴	用途
タフピッチ銅（C1100）	銅99.90％以上の金属。酸化銅の状態で酸素を0.02～0.05％含む。電気・熱の伝導性に優れるが、還元性雰囲気中で高温加熱すると水素ぜい化を起こす場合がある。	道電材（バスバー）建築用やDIY等
無酸素銅（C1020）	銅99.96％以上の金属。酸化銅や残留脱酸剤を含まない。電気・熱の伝導性に優れ、還元性雰囲気中で高温加熱しても水素ぜい化を起こさない。	電子材料や音響部品高温になる部材等
リン脱酸銅（C1220）	銅99.90％以上の金属。りんによって脱酸され、酸化銅を含まない。電気・熱の伝導性が1100と1020に比べやや低下する。リンの量によるが、還元性雰囲気中で高温加熱しても水素ぜい化を起こしにくい。	熱交換機用の銅管建築材やガスケット等

銅合金について

銅合金とは、銅を主成分として亜鉛や鉛、錫、アルミニウム、ニッケルなどの組み合わせた合金です。
銅合金は純銅と比較して同本来の性質は弱まりますが、組み合わせる金属に応じて強度や被削性などの性質を高められます。
主に黄銅（真鍮）、リン青銅、丹銅、洋白などがあります。

黄銅（真鍮）材料の種類

黄銅は、銅と亜鉛の合金で、特に亜鉛が20%以上のものをいう。別名、真鍮(しんちゅう)と呼ばれてます。
銅と亜鉛の割合によって、亜鉛が5～20%未満、赤みが強いものは丹銅（たんどう）。
亜鉛が30%で七三黄銅、亜鉛が40%で六四黄銅となります。
亜鉛の割合が多くなるにつれて色が薄くなり、少なくなるにつれて赤みを帯びます。
一般に亜鉛の割合が増すごとに硬度を増すが、同時に脆さも増すため、45%以上では実用に耐えません。
その他にも、被削性を高めるために鉛Pb を添加した快削黄銅や、錫（すず）を添加し耐海水性を高めたネーバル黄銅などがあります。
五円硬貨の素材にも使われ、金に似た美しい黄色の光沢を放つことから金の代用品にもされています。
仏具、金管楽器にも多用され、他に、建築金物、精密機械や理化学器械類にも使用されています。
また、個人の趣味での模型・工芸・アクセサリー、ネームプレートの素材等幅広くご利用いただいてます。

りん青銅

りん青銅とは、銅にすずと少量のりんを加えた合金ですずの多少により、1種～3種まであり、機械的な強さが大きく耐食性大、磁性なく、スイッチ、コネクター軸受等に使用されます。
深絞り性良、展延性・耐疲労性・耐食性が良い。特に高性能のばね性を要求するものは、ばね用りん青銅を用いることが望ましい。

丹銅

丹銅（たんどう）は、銅と亜鉛の合金で、同じく銅と亜鉛からなる黄銅よりも亜鉛が少ない。
赤っぽい色から丹銅と呼ばれ、レッドブラス、ゴールドブラスとも言います。
展延性・絞り加工性・耐蝕性に優れているので、建材・装身具・金管楽器などに用いられてます。

洋白

銅を50～70％、ニッケルを5～30％、亜鉛を10～30％配合した銀白色の合金で、柔軟性、屈曲加工性、及び耐食性に富み、装身具や電気抵抗線、バネ材料、楽器（主にフルート）の材料として用いられる。
また、硬貨の材料として用いられる場合もある（洋銀貨）。
引張り強さなどの機械的性質においては黄銅より優れています。

銅合金の特徴および用途

○：取扱いあり　×：取扱いなし　△：流通品

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合金系統	合金呼称	名称	取扱い							材料特性の概要	用途例
合金系統	材質記号	名称	板	丸パイプ	角パイプ	丸棒	角棒	アングル・チャンネル	線	材料特性の概要	用途例
純銅	C1020	無酸素銅	〇	×	×	〇	×	×	×	電気・熱伝導性・展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。 C1100より高価。	電気・化学工業用
	C1100	タフピッチ銅	〇	×	×	〇	〇	〇	〇	電気・熱伝導性・展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。	電気・蒸留釜・建築・化学工業・ガスケット・器物・印刷用
	C1220	りん脱酸銅	〇	〇	〇	×	×	×	×	電気・熱伝導性・展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。銅パイプの材料として用いられる。	風呂釜・湯沸かし器・ガスケット・建築・化学工業
Cu・Zn系	C2100	丹銅	〇	×	×	×	×	×	×	色沢が美しく、展延性・絞り加工性・耐候性はよい	建築用、装身具、化粧品ケースなど
	C2200	丹銅	〇	×	×	×	×	×	×	色沢が美しく、展延性・絞り加工性・耐候性はよい	建築用、装身具、化粧品ケースなど
	C2600	黄銅	〇	×	×	×	×	×	×	展延性・絞り加工性に優れ、めっき性が良い	自動車のラジエーター、薬きょう、カメラなどの深絞り用など
	C2680		〇	×	×	×	×	×	×	展延性・絞り加工性に優れ、めっき性が良い	自動車のラジエーター、薬きょう、カメラなどの深絞り用など
	C2700		〇	〇	〇	△	△	〇	〇	一般に広く「しんちゅう」と呼ばれている材質。展延性・深り加工性に優れ、メッキ性が良い。	熱交換機・カーテンレール・衛生管・諸機器部品・アンテナ・船舶部品
	C2801		〇	〇	〇	△	△	〇	〇	一般に広く「しんちゅう」と呼ばれている材質。展延性・深り加工性に優れ、メッキ性が良い。	熱交換機・カーテンレール・衛生管・諸機器部品・アンテナ・船舶部品
	C3604	快削黄銅	×	×	×	〇	〇	〇	×	C2700・C2801の切削性を良くした材質　特に打ち抜きに優れ被削性もよい。	ボルト・ナット・小ネジ・スピンドル・歯車・バルブ・ライター・時計・カメラ部品
	C3713	快削黄銅	〇	×	×	×	×	×	×	C2700・C2801の切削性を良くした材質　特に打ち抜きに優れ被削性もよい。	ボルト・ナット・小ネジ・スピンドル・歯車・バルブ・ライター・時計・カメラ部品
Cu・Sn・Zn系	C4641	ネーバル黄銅	△	×	×	△	△	×	×	耐食性、特に耐海水性が良い。	船舶用部品・シャフト等
Cu・Sn・P系	C5191	リン青銅	○	×	×	△	△	×	△	展延性・耐疲労性・耐食性がよい。高性能なバネ性能を求める場合は、C5120を用いる。	電気・通信・計測器用のスイッチ・コネクター・リレー・ダイヤフラム・打楽器
Cu・Sn・P系	C5210	バネ用リン青銅	○	×	×	×	×	×	×	展延性・耐疲労性・耐食性がよい。バネとしての性能が非常に高い。	電気・通信・計測器用のスイッチ・コネクター・リレー・ダイヤフラム・打楽器
Cu・Zu・Ni系	C7521	洋白	○	×	×	△	×	×	△	光沢が美しく、展延性・耐疲労性・耐食性が良い	装飾品、洋食器、医療機器、建築用他
Cu・Zu・Ni系	C7701	バネ用洋白	○	×	×	×	×	×	×	光沢が美しく、展延性・耐疲労性・耐食性が良い高性能ばね材に用いる。	電子、通信、電気、計測機器用の部品など
Cu+Be+Ni+Co+Fe系	C1720	バネ用ベリリウム銅	○	×	×	△	×	×	△	耐食性がよい。高性能ばね。	電子、通信、電気、計測機器用の部品など
Cu Fe Zn Al Mn 系	C6782	高力黄銅	△	×	×	△	△	×	×	強度が高く、熱間鍛造性・耐食性がよい。	船舶用部品・プロペラ軸・ポンプ軸
Cu・Zn・Pb系	BC1	青銅鋳物	×	×	×	×	×	×	×	湯流れ・被削性がよい。	バルブ・注水器・軸受け・銘板・一般機械部品等
	BC2		×	×	×	×	×	×	×	耐圧性・耐摩耗性・耐食性が良く、機械的強度も良い。	軸受け・スリーブ・ブシュ・ポンプ胴体・羽根車・バルブ・歯車・船用丸窓・電動機器部品
	BC3		×	×	×	×	×	×	×	耐食性が２種よりも、やや良い。	軸受け・スリーブ・ブシュ・ポンプ胴体・羽根車・バルブ・歯車・船用丸窓・電動機器部品・一般機器部品
	BC6		○	○	○	○	○	×	×	青銅鋳物の中で、一番広く用いられる材種。耐圧性・耐摩耗性・被削性・鋳造性がよい。	バルブ・ポンプ胴体・羽根車・給水栓・軸受け・スリーブ・ブシュ・一般機器部品
	BC7		×	×	×	×	×	×	×	機械的性質が６種よりやや良い。	軸受け・小型ポンプ部品・バルブ・燃料ポンプ・一般機器部品

調質について

例）

C1100－1/4Hここを調質記号という

調質記号一覧（参考）

記号	説明
O	焼きなましにより、最も軟らかい状態になったもの
F	製造したまま（押出加工のまま）
1/4H	冷間加工をおこない、加工硬化させたもの（1/4硬質）
1/2H	冷間加工をおこない、加工硬化させたもの（1/2硬質）
H	冷間加工をおこない、加工硬化させたもの（硬質）

銅合金の物理的性質

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材質記号	質別	引張強さ	硬さ	比重	溶解温度	導電率	熱伝導率	耐食性	成形性	切削性	ろう付け性	アルゴン
C1020	O	205	-	8.94	1083	100	0.93	A	A	C	A	B
C1020	H	315	-	8.94	1083	-	-	A	A	C	A	B
C1100	O	245	-	8.89	-	97	0.93	A	A	C	A	C
C1100	H	275	-	8.89	-	-	-	A	A	C	A	C
C1220	O	205	50	8.94	-	86	0.81	A	A	C	A	B
C1220	H	315	100	8.94	-	-	-	A	A	C	A	B
C2700	O	295	-	8.47	900	27	0.28	B	A	A	A	D
C2700	H	450	-	8.47	900	-	-	B	A	A	A	D
C2801	O	295	-	8.47	900	27	0.28	B	A	A	A	D
C2801	H	410	-	8.47	900	-	-	B	A	A	A	D
C3604	F	335	80	8.5	-	-	-	B	B	A	A	D
C4641	F	345	-	8.43	-	-	-	A	B	A	A	D
C5191	O	315	-	8.8	-	15	0.16	A	B	C	B	D
C5191	H	590	210	8.8	-	-	-	A	C	C	C	D
C5210	O	500	160	8.8	-	15	0.16	A	B	C	B	D
C5210	H	650	220	8.8	-	-	-	A	B	C	C	D
C6782	F	460	460	8.43	-	-	-	A	C	B	C	D
BC1	F	165	-	8.9	-	16.4	-	A	C	A	A	D
BC2	F	245	-	8.83	-	12	-	A	C	C	A	D
BC3	F	245	-	8.83	-	11	-	A	C	C	A	D
BC6	F	195	-	8.8	-	15	-	A	C	A	A	D
BC7	F	215	-	8.9	-	14.3	-	A	C	B	A	D

引張強さ：Ｎ／ｍｍ2
硬さ：ビッカース硬さ（Ｈｖ）　　比重：ｇ／ｃｍ3　　　溶解温度：℃　　導電率：（20℃・IACS・%）　　熱伝導率：(20℃・Jgs)

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品名	特徴	用途
タフピッチ銅（C1100）	銅99.90％以上の金属。酸化銅の状態で酸素を0.02～0.05％含む。電気・熱の伝導性に優れるが、還元性雰囲気中で高温加熱すると水素ぜい化を起こす場合がある。	道電材（バスバー）建築用やDIY等
無酸素銅（C1020）	銅99.96％以上の金属。酸化銅や残留脱酸剤を含まない。電気・熱の伝導性に優れ、還元性雰囲気中で高温加熱しても水素ぜい化を起こさない。	電子材料や音響部品高温になる部材等
リン脱酸銅（C1220）	銅99.90％以上の金属。りんによって脱酸され、酸化銅を含まない。電気・熱の伝導性が1100と1020に比べやや低下する。リンの量によるが、還元性雰囲気中で高温加熱しても水素ぜい化を起こしにくい。	熱交換機用の銅管建築材やガスケット等